データサイエンスとは?中学生・高校生にも身近な使い道と学ぶメリット

データサイエンスとは?のアイキャッチ

この記事で学べること

  • データサイエンスを学ぶと、日常や学校で何ができるようになるか
  • 動画のおすすめや天気予報に、データがどう役立っているか
  • 数える・分ける・比べるだけでも始められる理由
  • 自分の好きなことから、小さな分析を始める方法

「次に観るなら、この作品はどうですか?」。動画サービスでそんなおすすめを見たことはありませんか。朝の天気予報を見て傘を持ったり、ゲームの成績を見て次の作戦を考えたりしたこともあるでしょう。

こうした場面の裏側には、過去や現在の記録から、次の選択を助けるという考え方があります。データサイエンスは、その考え方をいろいろな問題に使う分野です。

難しい数式や高度なプログラムが必要な仕事もあります。でも、入口は「数える」「分ける」「比べる」で十分です。自分の好きなことについて「本当にそうかな?」と確かめてみる。それが最初の一歩になります。

このシリーズは、データサイエンスをこれから始める中学生・高校生に向けた入門です。第1回では、計算の練習より先に、「知ると何がうれしいのか」「自分にもできそうなことは何か」を見ていきましょう。

データサイエンスとは?記録を「分かった」「やってみよう」につなげること

データとは、見たこと、測ったこと、答えてもらったことなどを残した情報です。試合の得点、買い物の値段、アンケートの回答、文章や写真もデータになります。

データサイエンスは、その情報を調べて、物事の理解や予測、判断に役立てる分野です。統計やコンピューターの技術に、調べたい分野の知識を組み合わせます。IBMの公式解説でも、数学・統計、プログラミング、専門分野の知識などを組み合わせ、判断に役立つ情報を得る分野として説明されています。[1]

たとえば、部活動の試合結果をノートに残すだけなら「記録」です。それを見て「後半に失点が多い」と気づけば「理解」につながります。さらに「次の試合では後半の守り方を変えてみよう」と考えれば「行動」につながります。この例は、考え方を示すための仮想例です。

もちろん、失点の原因が体力なのか、相手の作戦なのかは、結果だけでは決まりません。そこで試合の映像や交代の時間も見てみる。記録から気づきが生まれ、次の疑問や工夫につながることに価値があります。

学ぶと、どんな「得」がある?中高生に身近な4つの価値

1.自分に合う選び方を考えられる

「人気だから」「友達がよいと言ったから」も、選ぶきっかけになります。ただ、自分の目的には合わないこともあります。

たとえば通学の道を選ぶなら、距離が短いことと、到着時間を見込みやすいことは別です。数日分の所要時間を残すと、早い日だけでなく時間がかかった日も比べられます。価格比較なら、値段だけでなく量や必要な機能も見ます。

データを使うと、「何を大事にして選ぶか」をはっきりさせやすくなります。数字が自動で正解を決めるのではなく、自分の判断を支える材料が増えるのです。

2.好きなことを、工夫しながら上達させられる

スポーツなら成功したプレーと失敗したプレー、ゲームならマップ別の成績、楽器なら練習した曲と苦手な部分。記録を分けて見ると、「なんとなく苦手」が「この場面を練習しよう」に変わるかもしれません。

勉強も、間違えた問題を「計算ミス」「問題の読み違い」「解き方が分からなかった」に分けるだけで、次にすることが変わります。全部をやり直すより、困っている種類に注目できます。

これは、必ず成績が上がるという約束ではありません。試して、記録して、うまくいかなければ方法を変える。その工夫をしやすくするのがデータです。

3.ニュースやSNSの数字を、落ち着いて読める

「満足度90%」「去年より2倍」「ほとんどの人が賛成」。大きな数字を見ると、すごいと感じます。でも、少し立ち止まってみてください。

  • 誰に聞いた結果だろう?
  • 何人のうちの90%だろう?
  • 2倍になる前は、どのくらいだったのだろう?

たとえば、2人から4人への増加も、2万人から4万人への増加も「2倍」です。割合だけでは、規模までは分かりません。数字の見方を知ると、情報をそのまま信じたり、すぐに否定したりせず、中身を確かめやすくなります。

4.自分のアイデアを、相手に伝えやすくなる

文化祭で「この企画がよいと思う」と言うだけでなく、「回答した40人のうち24人が体験型の企画を選んだ」と説明すれば、話し合う材料になります。

ただし、40人が学校全体を代表しているとは限りません。「誰の回答か」「ほかの意見は何か」も伝えると、より納得しやすい説明になります。結論だけでなく、そこまでの道筋を共有できることも、学ぶ価値の一つです。

実は、もう身近で使われている

動画のおすすめ:好みに合いそうな作品を探す

Netflixは公式ヘルプで、視聴履歴や作品の評価、似た好みを持つ利用者の情報、作品のジャンルなどを使い、楽しんでもらえそうな作品を予測すると説明しています。[2]

作品を全部自分で探すのは大変です。データを使って候補を並べることで、興味のある作品と出会いやすくします。ここでの価値は、計算結果を見せることではなく、探す手間を減らし、選択を助けることです。

ただし、おすすめはあなたの気持ちを完全に理解した答えではありません。予測なので外れることもあります。自分で別のジャンルを探す楽しさも残っています。

天気予報:観測した情報から、未来を考える

気象庁の数値予報では、世界の観測データから現在の気温や風などの状態を求め、物理法則などに基づくコンピューター計算で将来の変化を予測します。[3]

天気予報は、過去の晴れの日を数えるだけでできるものではありません。観測、科学の知識、計算を組み合わせています。データを使う方法には、記録から傾向を探すものだけでなく、物事の仕組みを使って予測するものもあるのです。

私たちはその結果を「傘を持つ」「予定を変更する」といった行動に使います。こうした高度な仕組みを今すぐ作る必要はありません。まずは、身近な便利さが、記録と工夫に支えられていると気づけば十分です。

学校や趣味でも、同じ考え方を使える

次は、特定の学校や企業の実績ではなく、編集部が考えた活用例です。

気になること 見るデータ 考えられる工夫
文化祭の受付が混む 時間帯別の来場人数 混む時間帯に受付の担当を増やす
ゲームで特定の場面に弱い マップや状況別の成績 苦手な場面に練習を絞る
買った食材を余らせる 買った量と使った量 次に買う量を見直す
花壇の植物の育ち方が違う 高さ、日当たり、水やりの記録 育ち方と条件の関係を調べる

どれも「記録を集め、比べ、次の工夫に使う」という点で共通しています。大企業だけの特別な活動ではありません。

難しいものばかりではない。「数える・分ける・比べる」から始めよう

データサイエンスには、高度な数学や大きなコンピューターを使う段階もあります。一方で、最初の分析は小さな表でできます。

最初にできること 例 使う道具
数える 間違えた問題は何問? 紙とペン
分ける ミスの種類ごとに整理する メモや表
比べる どの種類が多い? 表や棒グラフ
変化を見る 練習後にミスの傾向は変わった? 日付付きの記録
作業を自動化する 大量の記録をまとめて集計する 表計算ソフトやPython

Pythonは、コンピューターに作業を指示するためのプログラミング言語です。記録が増えたときに、集計やグラフ作成を繰り返しやすくします。まず手で数えて意味をつかみ、そのあと道具で速くする、という学び方もできます。

平均も便利。でも、目的に合わせて使う

たとえば3回の移動が18分、20分、22分なら、平均は(18+20+22)÷3=20分です。「全体ではどのくらいか」をつかむのに役立ちます。

一方、「明日は絶対に遅れたくない」なら、平均だけでなく、時間がかかった日や理由も気になります。計算方法を覚えるときには、「何を知るために使うのか」を一緒に考えましょう。平均の詳しい使い方は、後の回で扱います。

AIや機械学習は、使える道具の一部

機械学習は、データから規則性を学び、新しいデータの予測などに使う方法です。AIは、認識や推論などの知的な働きをコンピューターで実現する技術を広く指します。両者は重なりますが、同じ意味ではありません。

データサイエンスでは、必要に応じてこうした方法を使います。でも、目的が「ミスの種類を数えたい」なら、まず自分で表を作ればよいのです。複雑な方法を使うことより、知りたいことに合う方法を選ぶことが大切です。

自分で試してみよう:間違えた問題から、次の練習を選ぶ

ここでは、理解のために編集部が作った仮想データを使います。数学の練習で、間違えた10問を振り返ったとしましょう。

間違いの種類 問題の数 次に試す工夫
計算ミス 6問 途中式と符号を確認する
問題の読み違い 3問 聞かれていることに印を付ける
解き方が分からなかった 1問 解説を読み、似た問題を解く

この表から、まず何を練習してみたいですか? 「分からない単元を全部勉強し直す」以外にも、「多かった計算ミスから取り組む」という候補が見えてきます。

次に、数日後の練習でも同じように記録してみます。計算ミスが減ったかを見ることで、続けるか、別の工夫に変えるかを考えられます。ただし、問題数や難しさが違えば、単純な件数の比較はできません。20問中6問と10問中6問では意味が違うので、解いた総数も残してください。

また、読み違いが計算ミスにつながるなど、原因が重なることもあります。最初は「主な理由を1つ選ぶ」と決めるか、複数の理由を記録するなら合計が問題数を超えることを理解しておきます。分類は、自分を責めるためではなく、次の工夫を見つけるためのものです。

あなたの好きなことに置き換えるなら?

  1. 気になることを1つ選ぶ:部活動、ゲーム、読書、買い物など、自分が続けて見たい題材にする。
  2. 問いを小さくする:「上達したい」から「どんな場面でミスが多い?」へ。
  3. 必要な記録を決める:日付、状況、結果などを、同じルールで残す。
  4. 数えたり比べたりする:最初は5〜10件程度の練習用記録でよい。十分な調査量を保証する数ではない。
  5. 次の工夫を1つ決める:結果を見て、試したい行動と残る疑問を1文ずつ書く。

この流れは、総務省統計局が紹介する、問題・計画・データ・分析・結論という「PPDACサイクル」を、初心者向けの作業に置き換えたものです。[4] 名前を暗記するより、1回やってみることを目標にしてください。

データは判断を助ける。最後に考えるのは自分

データを学ぶと、何でも数字だけで決めるようになるのでしょうか。そうではありません。

文化祭で多数派の希望が分かっても、少数の人が参加しやすいか、安全か、予算内に収まるかは別に考えます。通学時間が短くても、危険な道なら選ばない判断が必要です。「何を大切にするか」は、集計だけで自動的に決まりません。

最初は、次の3つだけ確認するとよいでしょう。

  • 条件はそろっている?簡単な問題と難しい問題を、そのまま比べていないか。
  • 言いすぎていない?数回の記録から「いつでも」「みんな」を決めつけていないか。
  • 誰かが困らない?友人の名前や成績を、許可なく集めたり公開したりしていないか。

間違った結論を怖がって何もしなくなる必要はありません。「今回はこう見えた。次はこの条件も調べたい」と言えれば、次の一歩につながります。

この先は、基礎から「自分で動かせる」へ

このシリーズでは、まずデータの種類、平均やばらつき、グラフ、相関を身近な例で学びます。その後にPythonで表を読み、集計し、グラフを作ります。さらに、予測や機械学習の基本へ進みます。

最初からすべて覚える必要はありません。「好きなことを記録する→表で気づきを見つける→もっと知りたくなったら新しい方法を学ぶ」という進み方で大丈夫です。

データが新しい材料の研究にどう役立つか興味があれば、発展編としてマテリアルズ・インフォマティクスの入門記事もあります。予測だけでなく、実験をどう比べるかに関心が出たら、実験計画法の基礎へ進めます。どちらも研究者向けなので、今は「学んだ先にこんな使い道がある」と知っておくだけで十分です。

よくある質問

数学が得意でなくても始められますか?

はい。最初は数える、分ける、表を見るところから始められます。高度な予測などでは数学が必要になりますが、必要な場面と一緒に少しずつ学びましょう。

パソコンを持っていなくてもできますか?

この回の練習は紙とペンでできます。多くのデータを扱いたくなったら、表計算ソフトやPythonを使う段階に進めます。

どんな人に向いていますか?

「なぜだろう」「もっとよくできないかな」と思う題材がある人には、学ぶきっかけがあります。得意な教科だけで決める必要はありません。興味のある分野の知識も、データを読み解く手掛かりになります。

将来、どんな分野につながりますか?

動画サービス、気象、ものづくりなど、データを使う分野につながります。ただし、この記事を読んだだけで専門職の仕事ができるわけではありません。まず身近な記録で考える力を育て、その後に数学、プログラミング、興味のある分野の知識を積み重ねます。

まとめ:データを学ぶと、好きなことに新しい見方が増える

データサイエンスの価値は、難しい計算をすることだけではありません。選ぶときの材料を増やす、上達の工夫を見つける、数字の意味を確かめる、自分の考えを伝える。そうした力につながります。

動画のおすすめや天気予報には高度な技術が使われています。一方、自分の間違いを分類したり、文化祭の希望を数えたりするところからも始められます。

今日の一歩は、「好きなことについて、データで確かめたい疑問」を1つ書くこと。「自分にもできそう」と思った題材から、始めてみてください。

次回は「データって何?数字・文字・写真から分かること」。普段見ている情報が、どうデータになるのかを学びます。

参考文献

  1. IBM. What is data science? 公式解説。https://www.ibm.com/think/topics/data-science
  2. Netflixヘルプセンター.「Netflixのレコメンド機能のご利用方法」.https://help.netflix.com/ja/node/100639
  3. 気象庁.「数値予報とは」.https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-3-1.html
  4. 総務省統計局.なるほど統計学園「12 問題の解決」.https://www.stat.go.jp/naruhodo/12_ppdac/index.html

確認日:2026年10月10日。上記ページでは公開年・DOIの明示を確認できませんでした。Netflix・気象庁の説明は公開資料に基づきます。学校・部活動・学習などの具体例と数値表は編集部が作成した仮想例で、特定の人物や学校の実績ではありません。

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